逆子とは、妊婦さんの胎内で胎児の向きが逆さまになっている状態をいいます。本来は子宮口側に頭が向いていて、出産の際には頭から出てくるのが正しい方向となります。正式な医学用語では、正常な位置を「頭位」と言い、逆子の状態を「骨盤位」と呼びます。
妊娠の初期ですと胎児はまだ小さく、胎内で位置が定まってしまうことはありません。自由に動きまわりながら成長していくのです。出産の時期が近づくと、正しい位置に定着します。妊娠の中期ぐらいまでは、逆子の状態になっていても、妊婦さんはあまり神経質になる必要はないのです。
定期健診では、逆子になっていないかどうか医師は確認をしています。30週目ぐらいで逆子の状態となっていた場合、正常な位置に戻すための対応を考え始めます。逆子のままで出産を迎えるケースは、全体の5%未満となります。
逆子の状態で出産することになった場合、胎児の大きさや母体の健康状態などを勘案して、起こりうるリスクを考慮しなければなりません。それなりの経験が豊かな医師が複数人いる大病院であれば、帝王切開に踏み切ることも視野に入れ、安全に分娩ができるよう相応の準備がなされます
逆子の症状として、胎児が動いた時に感じる「胎動」に特徴があり、妊婦さんは「もしかして逆子かな?」と気づくことも少なくありません。頭位であった場合の胎動は、胃があるみぞおちの下ぐらいに感触が出るのが通常です。
対して逆子だった場合は、全般的に下方の位置で反応を感じます。下腹部や膀胱、恥骨のあたり、さらには肛門や直腸付近にまで衝撃を受けることもあります。その影響で、頻繁に尿意が起こる、お腹が張る、下腹部が痛いなどの症状が出るケースもあります。
逆子の症状として具体的には、複数の体勢があります。
※両足ではなく片足だけの症状の場合は、また別の名称に変わります。
上記のように逆子の体勢には複数のパターンがあり、症状によって出産する時のリスクが左右されます。単殿位や複殿位では、胎児の尻や足の位置によって経腟分娩も可能です。膝位や足位では、安全性を優先して帝王切開による分娩の確立が高くなります。
逆子になってしまう決定的な原因というのは、明確になっていません。原因は不明ということも多いのです。ただ憶測として考えられる要因は、母体と胎児の側それぞれに、いくつかの傾向があります。
妊婦さんの子宮内に筋腫があった場合、その場所や形状、大きさによって胎児の定まる位置に影響を及ぼすこともあります。また妊婦さんが小柄な方ですと骨盤も小さいことになり、逆子になりやすい原因のひとつと考えます。それから双角子宮といった子宮の奇形、前置胎盤、羊水の過多や逆に過少などの妊娠に関する障害が、逆子になる原因の可能性があります。
胎児の状況から考えられる原因としては、双子や三つ子といった多胎であった場合、可能性は高くなります。また胎児水腫や胎児奇形、水頭症など胎児そのものが問題を抱えているケースでも原因となります。
妊婦さんを取り巻く外部環境として、ストレスを招くような相応しくない状況、また妊婦さん自身が運動不足である、もともと冷え性であるなど、直接は関係のなさそうな要因でも、逆子の原因にならないとは言い切れません。
逆子の治療には、出産の時期までに元の位置に戻すための予防的な治療と、逆子のまま分娩となる場合の対処法を考えます。逆子の状態とわかったら、妊娠の安定期以降は、ウォーキングなどの軽い有酸素運動やマタニティヨガなどが有効です。
また逆子の状態を改善するための体操もあります。骨盤を緩めることで、胎児が胎内で動きやすくなるようにしてあげ、自然に元の位置に戻れるよう促します。妊娠の30週目を過ぎた頃から、就寝前に毎日行います。
逆子の治療には、鍼灸治療が有効な事が知られています。逆子の鍼灸治療では、お母さんの体調を整え、子宮内の環境を改善します。この結果、赤ちゃんが自発的に元の位置に戻る事により、逆子を治します。
逆子の鍼灸治療は、薬を使えない妊婦の方には安全な治療と言えます。お母さんと赤ちゃんが元気で出会うためには、逆子の治療は早期の治療が大切です。
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