不育症とは、妊娠自体はするものの、流産や死産、新生児死亡などを繰り返すために、結果として子供を育てることができない状態です。明確に何回以上から不育症とするか定義付けはされていませんが、一般的には、流産や死産、生後1週間以内の新生児死亡を2回以上繰り返す場合に、不育症と診断されます。
流産とは、妊娠22週未満で妊娠が終わることであり、不育症は流産以外にも、妊娠22週以降での死産や、生後1週間以内での新生児死亡も含むことになります。そのため、不育症は2回続けての流産である反復流産や、3回以上連続した流産を指す習慣流産と比べて、より広い意味で用いられます。
2008年度より、厚生労働省が不育症の研究班を設置し、不育症治療についての研究を行っています。この研究班の示す成績としては、過去の流産回数が5回までであればおおむね良好な治療成績が得られています。一方、流産回数が6回以上となると、治療成功率が低くなることから、特別な治療法が必要かもしれないとしています。
流産や死産、生後1週間以内の新生児死亡を2回以上繰り返し、結果的に子供を育てることができない状態を、一般的に不育症として診断します。現在のところ、妊娠反応は陽性となるものの、実際の胎児が子宮内に確認されないまま、月経になってしまう化学妊娠については、流産回数に含まれていません。
また、1人目を正常に分娩した後に、2人目、3人目で連続して流産や死産となることもあります。この場合には、続発性不育症として、検査、治療が行われることになります。
流産自体は、妊娠を確認したうち約10〜20%に生じるとされています。また、高齢になるにつれ、流産率は増加します。そのため、毎年、妊娠する女性のうちの数万人は不育症の可能性があると言われています。また、不育症うちの約半数は、胎児染色体異常を繰り返した偶発的流産であるとされています。このような例では、特別な治療を行わなくても良好に次回の妊娠、出産をすることができます。反対に、不育症の方のうち、約1〜3割に不妊症の併発がみとめられることも示されています。
妊娠初期における流産の多くは、胎児の偶発的な染色体異常によるものであるとされています。そのため、妊娠初期での1回の流産でリスク因子を調べることは少なく、2〜3回繰り返した際に、両親のどちらかに不育症のリスク因子がないかどうかの検査を行います。
また、妊娠10週以降での流産では、母体の要因が大きくなってくると言われていることから、この時期の流産では1回であっても検査が行われることがあります。
不育症の原因を探るための検査としては、ホルモン検査や子宮の形態検査、自己抗体検査、血液の凝固系検査、夫婦の染色体検査などがあります。
不育症のリスク因子として頻度が多いとされているのは、子宮の形に問題がある子宮形態異常や甲状腺異常、両親のどちらかの染色体異常、などです。しかし、厚生労働省の研究班による調査結果では、リスク因子が不明であるケースが60%以上もあったとされており、そのうちの多くは偶発的な胎児の染色体異常を複数回繰り返したことによると考えられています。
不育症に対しては、検査によって見つかったリスク因子に対して、それぞれに適応した治療を行います。一方で、リスク因子が不明である不育症に対しては、積極的な治療は行わず経過観察をすることで、比較的良好な成績が得られています。
ホルモン分泌の異常による不育症に対しては、内分泌療法(ホルモン療法)が行われます。特にどのホルモンに異常があるかによって治療方法は変わってきますが、プロゲステロン不足や高プロラクチン血症、甲状腺機能異常、糖尿病などに対しては薬物療法が行われます。
一方で、下垂体腫瘍が原因のホルモン異常などに対しては手術療法が選択されることもあります。また、先天的な子宮奇形や、子宮筋腫などによる子宮内腔の変形などがある場合にも、手術が行われることがあります。
治療した場合や経過観察を行った場合を含めて、最終的には約80%以上が出産に至るとされています。
不育症はとても不安ですが、しっかりと原因を見つけ、治療をすれば改善する病気です。赤ちゃんに出会うためにも、どうぞあきらめないで下さい。
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